きよし、この夜

あとがき

本作はFRENZという自主制作映像上映イベントに出展した映像であり、内容もまた同イベントをテーマにした作品です。 諸々の背景を知らぬまま鑑賞いただいた方にとって、本作は要領を得ない映像だったかもしれません。ごめんなさい。

至らぬ部分を補完する意図も含め、以下に、この作品に込めた思いを記してみようと思います。


FRENZは、2009年から年に一度開催され続けている、プロアマ問わず「自主制作の新作映像」を出展して上映する趣旨のイベントです。私は本イベントに、名義を変えたりユニットの一人として参加したりスタッフとして映像を提供したりと、ありとあらゆる携わり方をしながら8年連続皆勤で出展をしています。第1回目の開催当初はお酒も飲めない年齢だったのに、今や社会人も5年目です。住居から人間関係まで何もかもが変化を遂げた今、それでも尚、毎年残暑厳しい時期に渾身の一作をかかえて新宿ロフトプラスワンに足を運ぶことだけは変わりませんでした。

……そして、なぜ僕はそこまでこのイベントに執着するのだろう?という自問自答を形にしたのが本作です。



映像制作が楽しいと思える方々は非常に理想的で、羨ましく思います。「作ることが楽しいから作り続ける」という明快な動機は、疑うこと無くどんどん前に進むことができます。しかし自分がどうかというと、そう単純ではなくて、映像製作という作業は苦痛でしかありません。線を引くにしても、色を塗るにしても、キーフレームを打つにしても、グラフをいじるにしても、楽しいと思いながら作業している工程は一切ありません。


それでも、同イベントだけにはこうして毎年自ら参加表明しているのは何故だろう。この言葉では説明できないアンビバレントな感情にケリをつけるために、創作への全面肯定をもって、できるだけ誠実に映像で表現してやろうと挑んだのが今回の作品でした。FRENZというイベント特有の、圧倒されるほど魅力的な作品を短期間で大量に身体で浴び続けた時の「ああ、もう、俺も作るしかねえ!!!負けてられねえ!」という、その一心だけが原動力なのです。



映像制作なんてものは趣味として非常にマイナーですし、傍目には部屋にこもって画面に向かって毎日ポチポチとマウスをクリックしてるだけの気持ち悪い人間です。でもスポーツだって他の趣味だって同じことで、「俺はこの一瞬のために全身全霊を捧げる。この一瞬のためだけに、全てを投げ打って全力を尽くす。」と思える瞬間があるのは素晴らしいことだと考えていますし、映像制作でそんな風に思えたのはFRENZが存在したからなのだと強く思っています。だから同イベントに感謝しているのです。それはまるで、毎日練習してた吹奏楽の発表会のように。毎日素振りしてきた少年野球のホームランのように。新宿地下に潜むライブハウス(?)で、自身の作品が爆音にて上映された瞬間、全てが報われたような気持ちになるのです。


映像制作に全く興味がない方が本作をご覧になられたとき、イベントのこととか、創作活動とか、そういうのはよくわかんないかもしれないけれど、衝動的なこの気持ちだけは、ちょっとだけ、なんとなく、共感できる…気がする。そういうことが伝わる映像になればいいな、という淡い期待もありました。(それが形に出来たか否かの判断は保留とさせてください……精進します。)



そして本作は、信じられないくらい最高の形で上映いただくことができました。なんとFRENZ 2016大トリの作品として上映いただき、上映後は万雷の拍手がいつまでたっても鳴り響き続けました。司会の方が進行に支障をきたすため已む無く皆々様を制すまで止むことのなかったその拍手に、これから壇上に立つというのに不覚にも涙してしまい、大変格好悪かったのを覚えています。自己満足だと言ってしまえばそれまでの本作が、それほどまでに温かく迎え入れられたことを肌で感じ、とても嬉しかったのです。


FRENZと、いつも共闘してるフィンダー部の面々、そして携わってきた全ての人たちに感謝申し上げます。

ありがとうございました。


FRENZの公式サイトです。只今出展者募集中とのことで、勿論私は今年も参加表明するつもりです。

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